2018年4月22日(日) 17:26 JST

日本企業はなぜダメなのか 2

日本半導体・敗戦から復興へ このシリーズの第2弾は日本半導体産業が冒されている病気
今回は日本の半導体技術者へのインタビューで筆者は日本半導体産業の病巣をえぐってみせる。


筆者は、16年半にわたる半導体技術者の経験と、4年半におよぶ社会科学研究の結果から、「日本半導体は、過剰技術で過剰品質を作る病気にかかっている」と診断した。
 しかし、日本半導体には、そのような病気にかかっているという自覚がない。治療しようという決意もない。つまり、日本半導体は、病気にかかっている現状を直視せず、放置しているのである。
 2000年にDRAMから撤退し、2008年度に全てのメーカーが巨額の赤字を計上したのは、病気を放置し続けてきた当然の帰結と言えるだろう。

私 が韓国製電子部品や製品OEMの商談を日本のメーカーと進めてると必ずぶつかる壁が品質要求の高さだった。最初は私も日本の技術が高いからこの壁は当たり 前だし韓国メーカーが埋めるべきものだと思っていたし、韓国側も日本の水準に合わせるべく努力するのが当然として対応していた。しかしながら、そのうちに 韓国側からは「米国でも欧州でも通っている基準なのになぜ日本の顧客はこんなにうるさいことばかりを言ってくるのか?そんなに高水準のものがほしければ日 本製を買えばいい」と言われるようになった。日本だけが異常に品質要求が高いのだった。

ま た、品質基準をめぐる会議をしていると日本メーカーの担当者は倫理の先生のようになる。曰く「不良は悪だ」と。ビジネスの話をしているのに倫理の話になっ てしまう。こうしたトラブルを何回も経験する中で韓国の技術者と話をしていて思い至ったことがある。それは品質とコストのバランスの問題だ。一般的に不良 率を下げることは、捨ててしまう材料とその工程の無駄を減らすのだからコストダウンに繋がる。しかし、これがある一定のレベルを超える不良率の追求は逆に コストを押し上げることなる。例えて言うと99.5%までの良品率(0.5%の不良率)まではコストは下がるが、これを更に99.99%を目指すとそこに かかる労力は膨大で逆にコストを押し上げてしまう。

日 本メーカーは良品率99.99%になっても「不良は悪」だから100%を目指して品質・開発・量産の技術者が努力を続け、コストが上がっても仕方ないこと と考えるが、韓国メーカーではコストを増やすことに労力を費やしている技術者は評価が下がるかクビになる。台湾メーカーでも事情は一緒だ。

韓国メーカーにおいては、製品が市場で受け入れられるレベルが適正な品質水準であり、市場から求められない限りはそれ以上の品質のものを投入しようとはしない。一方で常に良品率100%という数字を追いかける日本メーカーには市場のニーズは見えていないのかもしれない。

勿 論、70年代80年代の韓国メーカーは技術力に乏しく安かろう悪かろうの製品しか市場に投入できなかった。しかしながら、80年代後半に米国や欧州の大手 小売業者SearsやWhirlpoolのOEMで「100ドル電子レンジ」が投入されると、今まで電子レンジを買えなかった低所得者層に圧倒的に支持さ れ、開発途上国においてもAV製品や白物家電を普及させる大きな力になった。

こ うした動きを日本のメーカーは「あんな粗悪品」と言って高みの見物を決め込み、中高所得者を相手にすればいいと考えていたが、安い製品が市場に出てしまう と価格は引っ張られるので「韓国メーカーのせいで商売がやりづらくなった」「悪貨は良貨を駆逐する、困ったものです」と嘆きつつも自分たちの優位は揺らが ないと考えていた。

この辺りを半導体産業の状況に即して述べている湯之上隆さんのこの記事「日本半導体産業が冒されている病気」、とても共感する。以下の図表はとても分かりやすい。

過剰技術で過剰品質の製品を作ってしまうという病気

半導体産業の技術力を示す2つの評価軸